発達が気になる子のステキを伸ばす「ことばがけ」加藤潔さん 著

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加藤さん、あなたの温かいことばに癒されました。
私は子どもの「発達を気にしていない(つもり)」だけれど「関係を楽にしたい」ばっかりに情報を求め、さまよい続ける、ひとりの親です。

加藤さんのように心から「分かろう」としてくださる人々の存在を知り、心がポカポカに温まりました。本を書いてくださりありがとうございます。


一番最初に書いてあるということは、一番これが大切なのかな、と思います。

「ことば」って何だろう? という問い。

加藤さんによると、一番伝わりやすい(最もわかりやすい)コミュニケーション手段は、それぞれの子どもにとっての「母国語」だそうです。

そう言われると、ああ、日本語だね。

と思ってしまうのですが、そうではなくて、その子にとっての母国語を見つけてあげる必要があるのです。伝えたいことをどう伝えるか、は人によって異なるのですね。

ことば:人にメッセージを伝えるために用いるコミュニケーションの形態の総称
たとえば
・具体物
・ジェスチャー
・カード(絵・写真・文字・シンボル)
・正式なサイン
・話しことば
・書きことば
・IT機器 など

発達が気になる子のステキを伸ばす「ことばがけ」

常に私は「自分を表現する」ことが自らを助けると信じています。

私の場合は書くことと絵画やキルトかもしれないけれど、ある人はギター、ある人はしゃべること、ある人は走ること。などなど人によって「自分を表現する」方法は異なります。

でも、ここでいう「伝え方」は、もっともっと前の段階。

怒りや嬉しいという感情はもちろん、相手に「こうして欲しい」と伝えたい時も、「本人にとって一番分かりやすいことば」で伝えることが、お互いのためになるのだと分かりました。

たとえば、突然「上着を着て!」と言っても、子どもは「なんで?」といきなり指示されたことに不安の気持ちが心に広がってしまいます。

結論から示す

一回にひとつの指示

目で分かる

などのルール通りにやると、スムーズに行くそうです。「コンビニに行くよ」「寒いから上着を着ようか」などなど。

でもこれって、大人でもそうですよね。仕事中に突然「これやって」と言われるだけで、どうしてやるのか、何のためにやるのかの説明もなしに言われると、ムッとします。

どんなに相手の能力を下に見ていたとしても、きちんとその作業の目的をひとこと付け足すだけで、安心感とやる気につながります。それが礼儀だと思います。

あ、思わず関係ない話に力が入ってしまいました。


我が家の息子には「目で分かる」がとくに効果的でした。

早速試したのは、ホワイトボードにその日の予定を書くようにしたことです。

・がっこうにいきます

・しゅくだいをやります

・カラテにいきます

・だから、4じをすぎたら、きがえます

など大まかな予定を書くようにしたところ、本人が一日の予定を理解できるので安心するようで、それに向けて動くようになってきました。

まあ、そこは小学生。勝手に「しゅくだいをやります」のところを消して、「ゆーちゅーぶをみます」に変えていましたけど。


学校で苦労しているだろうな、と思わずうなってしまったのがこちら。

「はい、教科書26ページを開いて、ノートは新しいページを出してください。26ページの3行目からを小さい声で読みながら、鉛筆でキーワードに線を引こう。さあ、始め」

先生、どうかゆっくり、ひとつずつ指示を出してもらえると助かります。と連絡帳に書きそうになりましたが、我が息子が大好きな担任の先生。「大好き」ということは、きっとこんな言い方はしていないのだろうな。(さすがに一年生相手ではこのあたりゆっくり丁寧に伝えてくれるのかもしれない。試練は大きくなるとやってくる)

今日、マクドナルドのドライブスルーでドキドキしたのは、お会計でクレジットカードを受け取りながら、後から後からやってくるお客さんの注文を受け、さらに私に向かって丁寧にカードを返しながら「ありがとうございましたー」の笑顔を投げかけてくれたピンク色の髪の、若い女の子。

耳と手と言葉を同時に動かし笑顔まで忘れない。あなたはどんなに荒れた社会に出ていってもうまくやれるで賞。


本の中ではひとつひとつの「ことばがけ」を丁寧に紹介してくださっていて、本当に参考になります。

そしてもうひとつ、印象に残ったページがあります。
どのような伝え方がその子どもにとって一番分かりやすいのかを調べる簡単アセスメントについて。

たとえば、消しゴムなら、写真、線画、ひらがな、漢字、色付きの絵などのカードを作り、その前に箱を置いて、どの箱に入れたくなるかを調べる。カードを並べ替えて数回実施すると精度が上がるらしいです。

これはいい。まるで血液型を調べるみたい、楽しみ!

となり、今度のお休みの日に試しに作ってみる予定です。そしてそこに書かれていた加藤さんの言葉にワクワク感が増しました。

「丸ゴシックが目にやさしい」とか「濃紺の白地の文字がとても見やすい」など、その人の好みを探るのはとても楽しいですよ。こうしたところに着目できるマニアックな支援者でいたいですね。

そんなこと言われたら、やるしかない。


「あとがき」で、加藤さんのお人柄に感激しました。

対人支援をなりわいとする仕事、特に福祉・介護業界は、時に3Kと言われることがあります。

「きつい」「きたない」「きけん」
「かえれない」「きびしい」「きゅうりょうがやすい」
「かっこわるい」「くさい」「きゅうかがない」

何をKとするかはさまざまです。
3Kと言われるのなら、私たちの3Kをつくればいい。

「感謝される仕事である」

「感動する仕事である」

「家族が誇れる仕事である」

感謝されることに感謝しましょう。

すばらしいです。私もそんな仕事がしたいです。
本の中で使われていることばが全て優しさにあふれていました。

著者の加藤さんからの「ことばがけ」によって、子どものステキを伸ばす前に、その親の私がまずは癒されたのでした。ありがとうございました。