私は17年間、個人事業主として事業を継続させることに苦しんできました。何も学ばず、誰の意見も聞かず、ただただ、突っ走り過ぎたのです。手を差し伸べてくれる人は、お客さまやスタッフも含め、道ゆく人から有名コンサルタント、取引先までたくさんいました。彼らの言葉を聞いているようで聞いていなかった若い自分。
今思えば、必要な情報、学ぶべき知識やマインドはすぐ目の前にあったのです。でも、その重要性に気づくことはできませんでした。もっともらしいことを自分に言い聞かせ、ただカッコつけていただけ、と今なら分かります。
そして、もう一度一から始めることにしました。自分とは何か、掘り出し掘り起こしを繰り返し、以前よりは少し成長できた、と思える自分がいます。まだ始まったばかり。理想とする「成功」までの道のりを、今ならその仕事と苦楽を共にして楽しもうと素直に思えます。
最近読んでいる本の中で、これは・・・はっきり言って起業前に読みたかった!と思った本をご紹介します。今の自分だからこそ響く内容なのかもしれません。だけど、万が一これから起業しよう、ビジネスをやっていこうと思っている人がいたら、まずこの本は読むべき、と心の底から思います。
単なるテクニックやHOW TOの本ではありません。そういう本はたくさんあります。それはそれで、役に立つこもあるかもしれません。だけど、私が欲しかったのは、働くことの「意味」とか仕事を継続することとはどういうことか、という本質が書かれた本です。
著者の波多野さんの優しさがにじみ出る文章に泣けてきます。
経営とは、仕事とはいったい何なのか
自分探しの旅の中、たくさん出てきた答えの中で一つをあげるとすると、「意味のあることをしたい」。ということ。お金儲けや生活のため、それも大切。だけどもっと根本的なところで自分が今まで誠意を持ってやってこれなかったのは、「この仕事には意味がない」と思ってしまっていたから。
自分で決めて自分ではじめた仕事であるのに、誇りも持っていなかった。この本の中で、最初に語られている「仕事とは何か」「経営とは何か」という文章を読んで、まず私に足りていなかったものを再確認しました。
あなたが生きている中で切り離せず、そこに存在する四つの大切な要素を挙げましょう。
「ひとり会社」の起こし方・育て方 波多野卓司さん著書
それは、「命」「愛」「商品」「お金」です。
この四つの要素を自分以外の人とともに循環させていく、それが経営であり、仕事です。
詳細はぜひ本を読んでいただきたいですが、この言葉を読んで、ようやく全てに納得がいきました。どれも私には中途半端でした。そしてそれらを循環させていく、継続させていくというところが一番の弱点。それがなければもはや「経営」しているとは言えない。そんな状況に私はいたんだ、と恥ずかしくなります。
「自分らしさ」で、新しい舞台に飛ぼう
何か自分の好きなことを仕事というかたちにしたい、と思っている人はたくさんいらっしゃると思います。それが一番いい。と私も思います。周りに何か言われたら?そんな時の気持ちの持ち方も、この本では丁寧に応えてくれています。
また、そんな「好きなことを仕事に」ということが大前提で、では、どうすれば日々の「行動」の段階から「理想の実現」の段階へ確実に近づいていけるのか。それについて、私がこの本の中で一番首が痛くなるほどうなずきながら読んだ章です。おぼろげながら頭の片隅にあったものが、確信に変わったと言っても過言ではないくらい。明確な言葉にしてくれています。
私たちは、一番初めに見つめた「自分の価値観(原点)」と、この「持ち味」の二つで生きていくしかありません。それは、自分の「歌」であり、「花」であり、「基本フォーム」です。
壁にぶち当たった時、自分はどうやって乗り越えたのか。あるいは成功体験をした時、いつもどんなやり方をしていたのか。そんな自分らしさを「自分流」として意識していたら、これから起こるどんな状況にも対処していける、そんな力がみなぎってきました。
長いあいだの経営経験から、私は「自分流」を今見つけることができました。しかし、もしこれから起業してみたいと思う人でも、生きてきた中で経験した全てのことが無駄にならない。その中で必ずとってきた行動「自分のやり方」があるからです。
「経営する」という意味では、この自分の持ち味を、満たされないニーズに生かすことだと書いてあります。
モチベーションを持続させるためには、全ての活動にあなたの「持ち味」を生かすこと。
続けるということ
本の中に出てきた言葉。
「人間、毎日、続けられるものをいくつ持てるかで、人生の豊かさが決まるんです。」
私にとって一番足りなかったものはこの「継続」です。今思えば、私の表向きの仕事自体は辞めずに続いている状態ではありますが、自分の気持ちや商品づくりに対する情熱が全く続いていなかった。一緒にやってくれていたスタッフやお客さまにも申し訳ない気持ちでいっぱいです。
今日と未来のために、あなたが毎日続けるささやかなことを、まず決めてみましょう。継続した小さなことだけが、人生をつくっていきます。
続けることの難しさ、大切さは身にしみてわかる年になりましたが、どうして若かったあの頃にこの考え方がなかったのか。それが人生だ、と娘や息子に胸を張って言えるよう、まず自分が一つ一つをこなしていこう。
まとめ
この本には、経営に求められる指針やら販促計画、資金繰り計画の作り方などもサラッと書かれていますが、まず仕事とは何かという本質を理解することが一番大切なんだと気づかせてくれる、内容の濃い一冊でした。経営計画やら資金繰り計画の前に、まずはこの本を読んで、じっくり自分と向き合う時間をつくることをオススメします。
ここに書いた文章の中に、何度も何度も「自分」という言葉が出てきました。後から「ちょっと多すぎ!」と思い、削除しようとしましたが、やはり「自分」と向き合うことがどれだけ大切なのかを伝えられたらと思うので、そのままにしておこうと思います。一冊の本、だけど人生を変えるようなコトバに巡り会える。本当に読書っていいなと改めて実感。